2017年9月9日(土)、第62回租税法研究会・第28回プロゼミ・第20回研究ゼミが開催されました。
第62回租税法研究会では、重加算税賦課要件である「隠ぺい・仮装」をテーマとして取り上げました。租税訴訟において重加算税賦課の妥当性が争われるケースが多い中、いかなる事実が重加算税賦課の構成要件となるかについて、要件事実の認定に関する問題を検討しました。
第1部では、法人が有する代表者に対する債権に係る貸倒れの事案において、法人と代表者との間の取引認定が問題となったケースを取り上げるとともに、第2部では、相続税において「隠ぺい・仮装」が争点となった事案を学びました。税務調査の際に香典メモを破棄したことが、果たして重加算税賦課要件を充足するのか、各テーブルから様々な意見が発表されました。
第28回プロゼミでは、いわゆる「上野事件」を取り上げました。
相続税の課税対象となる課税財産の範囲を巡る訴訟のうちでも、極めて注目度の高い事案です。相続の開始時において、必ずしも財産としての明確性を有していないものは多々あります。例えば、配当期待権を課税財産に取込むとする考え方は妥当なのでしょうか。あるいは、訴訟における勝訴の可能性をも織り込んだ財産評価というものを考えることは、相続税の課税対象や同法22条の「時価」の解釈において如何なる意味を有するのでしょうか。評価の困難性は相続財産性を否定することになるのか検討を加えました。
なお、第20回研究ゼミでは、共同執筆書籍の進行状況につき、各会員から研究テーマの発表がなされました。研究ゼミ会員以外の方にも聴講していただき、書籍化に向けてさらなるブラッシュアップが図れたのではないでしょうか。