ファルクラムは平成22年5月15日から多くの研究会を開催しております。
最新の活動報告は以下よりご覧くださいませ。
平成27年度以前の活動一覧は「こちらからダウンロード」いただけます。
活動報告
最新の活動報告
第61回租税法研究会・第27回プロゼミ・第19回研究ゼミ
2017年7月15日(土)、第61回租税法研究会・第27回プロゼミ・第19回研究ゼミが開催されました。
第61回租税法研究会第1部では、理事長の地位にあった者が社団からの借入金債務の免除を受けることにより得た利益が所得税法28条1項にいう賞与に当たるとされた事例―最高裁平成27年10月8日第一小法廷判決―について研究員から発表がなされました。役員賞与についての問題は実務上も大変興味深い論点かと思われます。
また、第2部では、財産分与としてされた不動産の譲渡につき譲渡所得課税の対象となるとされた事例―最高裁昭和50年5月27日第三小法廷判決―を参考に検討が加えられました。財産分与としてされた不動産の譲渡につき譲渡所得課税がなされることは、実務上もはや当然のこととして取り扱われているかと思われますが、なぜ譲渡所得課税の対象になるのか、そこに疑問を差し込む余地はないのかなど、実務を裏付ける理論的根拠について学びました。
第27回プロゼミでは、商品の輸出取引における収益計上時期が争われたいわゆる大竹貿易事件(最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決)を基にディベートが行われました。法人税法上の権利確定主義について述べた同最高裁判決を改めて討論の対象とすることで、一層のアウトプットの充実を図ります。
第19回研究ゼミでは、共同執筆書籍『通達のチェックポイント〔所所得税法編〕』の発刊に向けて一つ一つ各自の担当事案の整理を行っています。次回第20回では中間報告会を開催いたします。
第2回 プレップ・ファルクラム
2017年7月11日(火)、第2回 プレップ・ファルクラムが開催されました。
前半、ファルクラム上席主任研究員の臼倉真純より、「租税法に厳格な解釈が求められる理由」を中心に解説がなされました。
租税の財産侵害性や、納税者の予測可能性といった点を確認するとともに、租税特別措置の解釈の在り方などについて解説がなされました。
現行の実務では、租税特別措置法による規定をはじめ、多くの租税特別措置が設けられ、毎年の税制改正でも多くの特別措置が制定・改正等されています。租税特別措置は、納税者の租税負担を軽減するものであることが通常ですが、そうしたいわば納税者有利な租税法の規定について厳格な解釈を行う必要はどこにあるのでしょうか?むしろ納税者有利に働くのであれば、解釈によりその適用範囲の拡大を図る方が良いといった意見もあるかもしれません。
プレファルでは、文理解釈と目的論的解釈という解釈手法を確認していくことになりますが、なぜ租税法の世界では一般的に文理解釈が優先するとされているのか、その理由を考えます。
後半は、酒井克彦代表より、節税と脱税、そして租税回避の整理がなされました。
「普段実務で行うものが節税」、「やってはいけないものが脱税」、「間のグレーゾーンが租税回避」、このようなアバウトな理解は果たして正しいのでしょうか?課税要件の充足といった法律的観点からこれらの整理がなされました。
第60回租税法研究会・第26回プロゼミ・第18回研究ゼミ
2017年6月17日(土)、第60回租税法研究会・第26回プロゼミ・第18回研究ゼミが開催されました。
第60回租税法研究会第1部では、航空機リース事業の終了に伴い民法上の組合員が受けた債務免除益が一時所得に該当するとされた事例―東京高裁平成28年2月17日判決―について研究員より発表がなされ、民法上の組合形式を使ったスキーム事案について幅広い意見と議論が加えられました。
また、第2部では、外国子会社のペーパーカンパニーと実質所得者課税の原則の適用―横浜地裁平成13年10月10日判決―として、法律的帰属説と経済的帰属説といった学問的な関心を実務に活かすべく事例検討がなされました。
第26回プロゼミでは、いわゆるストックオプション訴訟(最高裁平成17年1月25日第三小法廷判決)を基に、新しいスタイルでのプロゼミがスタートしました。
従来のプロゼミの、「研究員からの発表とそれに対する意見・質問」というスタイルを改め、「発表班・質問班・司会班・ジャッジ班」の4チームに分かれて討論するスタイルへとプロゼミがリニューアルされました。
自分の意見をただ主張するのではなく、発表班や質問班は、あらかじめ納税者側・課税庁側に分かれての立論を行い、ジャッジ班は裁判官のように両者の主張を汲んだうえでジャッジメントを下します。司会班は、随時飛び交う意見を簡潔にまとめ進行をする等、より応用力を鍛えることを目的としたスタイルとなっています。
第1回 プレップ・ファルクラム
2017年6月13日(火)、第1回 プレップ・ファルクラムが開催されました。
前半、酒井克彦代表より、「租税とは何か」という根本的な命題について解説がなされました。「税」と名前の付くものはすべて租税といえるのか、租税とはそもそも何なのか、これからの学習にあたっての土台についての説明がなされました。いわゆる旭川国民健康保険料事件上告審、最高裁平成18年3月1日大法廷判決などを中心に租税の意義とは何かを学びました。
後半は、ファルクラム上席主任研究員の臼倉真純より、プレファルで解釈論を学ぶ前提として、憲法84条をはじめとする租税法の大原則である「租税法律主義」とその内容について解説がなされました。また、租税法の「法源」や、法と施行令、施行規則、通達の違いなどについての基礎知識についても説明がなされました。
「租税とは何か」といった議論や、「租税法律主義」などは、当然の前提のようにも思われますが、当然のことすぎて実はあまり深く考えてこなかった部分が多いようにも思われます。改めて「知っているようで知らない」これらの土台部分を理解することが、これからプレファルで学ぶ解釈論の基礎となるはずです。
プレップ・ファルクラム〔ガイダンス〕
2017年5月9日(火)、プレップ・ファルクラムのガイダンスが開催されました。
ファルクラム租税法研究会(スタンダードコース・プロゼミコース)は、研究員による発表のみならず、それに対する意見交換、議論、討論を少人数のテーブルごとに行うことが特徴的です。
しかしながら、いきなりグループ討論となると少し腰がひけてしまう、レベルに着いていけないのではないか、もう少し基礎的な部分をインプットしたいという要望を受け、ファルクラム租税法研究会の基礎コースとして、スクール形式でのプレップ・ファルクラム(プレファル)を開講することとなりました。プレファルで租税法の基本を学び、応用的な理解へとステップアップしていきましょう。
プレファルは、税理士等士業の方のみならず、どなたでもご参加いただけます。
税理士事務所勤務のスタッフの方、企業の財務部や経理部等にて租税に携わる方、現在税理士試験を目指している方など、「租税法」を一から学びたい方にお勧めです。
ガイダンスでは、まず酒井克彦代表よりファルクラムの概要と、租税法を法学として学ぶことについて説明がなされました。次いで、ファルクラム上席主任研究員の臼倉真純より、今後のプレファルの概要、進め方等についてガイダンスを行いました。
2017年度 第1回公開セミナー
第59回租税法研究会・第25回プロゼミ・第17回研究ゼミ
2017年4月8日(土)、第59回租税法研究会・第17回プロゼミ・第25回研究ゼミが開催されました。
第59回租税法研究会(スタンダードコース)では、第1部に、商品券購入のための費用は交際費等として損金の額に算入されるかが争われた事例―東京地裁平成27年9月9日判決―について、研究員より発表がなされました。実務上の注目度も高い交際費等の範囲について活発な意見交換が行われました。
第2部では、公正証書があったとしても贈与税の負担回避のために作成されたと認められるときは、登記手続のときに贈与による財産取得があったと判断された事例―名古屋高裁平成10年12月25日判決―を基にディスカッションがなされ、酒井教授より解説が加えられました。
第25回プロゼミでは、相続税の事案において、重加算税の賦課が否定された事例を素材として、国税通則法68条にいう隠ぺい又は仮装の認定の是非につき、検討が加えられました。
重加算税の賦課要件は、国税通則法68条に申告書提出以前に「隠ぺい又は仮装」が必要である旨が規定されているところ、法定申告期限後の税務調査において虚偽答弁等を行った場合に「隠ぺい又は仮装」があったといえるか否かについては議論があるところです。国税庁の通達においては、そのような場合でも重加算税が賦課される余地がある旨が示されていますが、相続人の間で税務調査に対し積極的には協力しない旨の漠然とした合意が形成されていた場合に重加算税の課される得るのかについて議論を加えています。
第17回研究ゼミでは、来春発刊予定の共同執筆書籍『通達のチェックポイント〔所得税編〕』に向けて、各自の担当事案の整理等がなされました。


















