法人税法は、法人所得の金額の計算において、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(「公正処理基準」)に従った処理を要請し、いわゆる企業会計準拠主義を採用しています。もっとも、法人税法上の事例においては、公正処理基準該当性をめぐって訴訟が提起されるなど、同基準の意義をめぐる議論がこれまで長い間続けられています。また、近時は、収益認識基準の設定や、国際会計基準の影響を受けた国内会計基準が法人税法にいかなるインパクトを与えるかという点からも、企業会計準拠主義や公正処理基準に関心が寄せられているところです。本書では、姉妹書である『プログレッシブ税務会計論Ⅰ-法人税法と会計諸原則-』及び『プログレッシブ税務会計論Ⅱ-収益・費用と益金・損金-』と同様に「企業会計準拠主義とは何か?」という視点のもと、法人税法の根底に流れる企業会計準拠主義の基礎的な部分を取り上げながら、その本質を探っています。