第22回プロゼミ

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平成28年11月19日(土)、第22回プロゼミが開催されました。

同族会社である株式会社の代表取締役が監査役になったことについて、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められた事例、東京高裁平成17年9月21日判決について会員から発表がなされました。

役員の退職給与の損金該当性は実務的にも大きな関心事項であると思われます。法人税法は具体的な退職要件を規定しているわけではないため、もっぱら事実認定に依拠せざるを得ません。今回は、こうした実務においても判断が難しい役員の退職金について検討がなされました。

 

第21回プロゼミ

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平成28年10月15日(土)、第21回プロゼミ研究会が開催されました。

今回は、ファルクラム租税法研究会会員より、法人税法132条の2にいう不当性要件が争われた事例として、いわゆるヤフー事件、最高裁平成28年2月29日判決(民集70巻2号242頁)についての報告がなされました。

従来の学説は、私法上の選択可能性を利用して課税要件の充足を免れ税負担の軽減を図る行為を租税回避として捉えてきたことから、「租税回避とは課税されないもの」と理解してきました。同族会社の行為計算否認を定めた法人税法132条もこうした従来の租税回避の理解をベースに整理がなされてきました。

他方で、複雑な組織再編が頻出する今日において、それら組織再編に対応するため、法人税法132条の2《組織再編成に係る行為又は計算の否認》が整備されてきましたが、同条については132条の枝番であると捉え、従来の132条と同様の理解をすべきか、はたまた、132条と132条の2はあくまでも異なる条文であるとして新たな解釈を展開する余地があるのかについて大変注目された事例です。

ヤフー事件は、課税要件の充足を図ることで税負担の軽減を図った事例であり、従来の租税回避の定義とは異なります。りそな銀行事件など、近年注目されるこうした租税法制度の濫用事例について様々な意見交換がなされました。

第19回プロゼミ研究会

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平成28年7月9日(土)第19回プロゼミ研究会が行われました。

今回は、短期前払費用の金額が多額であり課税上弊害が生じるものと認められるので、法人税基本通達2-2-14《短期前払費用》により損金の額に算入することはできないとされた事例として、東京地裁平成17年1月13日判決(棄却)、東京高裁平成17年9月21日判決(控訴棄却)、最高裁平成18年11月24日第二小法廷判決(棄却・不受理)を取り上げ、研究員による発表が行われました。

短期前払費用の取扱いは、実務上決算対策などにおいて非常に多く利用され、税理士をはじめ多くの租税専門家に周知のものと思われますが、この短期前払費用の計上について法律的な根拠を考えるとき、大きな疑問にぶつかります。法人税法において短期前払費用の計上を直接認める規定はなく、通達においてその取扱いが認められているにすぎません。

通達は法律ではなく、あくまでも行政庁内部の上意下達の命令手段にすぎないことを踏まえれば、たとえ納税者に有利な取扱いであったとしても、法的根拠のない通達の定めをもって短期前払費用の計上根拠とすることはできません。
なお、当該通達に係る逐条解説によれば、短期前払費用の取扱いは、「重要性の原則に基づく経理処理」との説明がありますが、企業会計原則にいう重要性の原則を法人税法においても採用出来るのかという問題、さらに逐条解説には「課税上弊害がない場合」との説明も見受けられるところ、このような不明確な基準を課税所得の計算に持ち込むことの問題点などが検討されました。

その後、酒井克彦教授による解説、プロゼミ研究員によるディスカッションが行われました。
短期前払費用の取り扱いについては、租税実務上大変多く利用されていることから、税務実務での現状やその問題点等について様々な意見が交わされ、大変有意義な研究会となったものと思われます。

第18回プロゼミ研究会

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平成28年6月18日に第18回プロゼミ研究会が開催されました。

今回は、「子会社の資産状態が著しく悪化したことによる子会社株式の評価損の計上並びに役員給与及び使用人兼務役員に対する賞与について事前確定届出給与に該当するとしてした損金の計上がいずれも否認された事例」として国税不服審判所平成22年5月24日裁決を基に研究員より発表がなされました。

本件事例につきましては大きく分けて争点が2つあります。すなわち、1つは、評価損が計上された子会社株式について、子会社の資産状態が悪化したため、当該子会社株式の価額が著しく低下した事実が生じていたか否か。もう1つは、本件における役員給与が事前確定届出給与として損金の額に算入できるか否かです。

研究員による発表の後、プロゼミ研究員によりディスカッションがなされました。特に役員給与に関する論点につきましては、租税実務に直結する論点でもあることから、法解釈上の問題点と絡め、実務における現状やその課題等について様々な意見が飛び交いました。意見交換の中で新たな問題点が浮き彫りになってきたこともあり、非常に興味深いディスカッションになったのではないかと思います。

第17回プロゼミ研究会

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平成28年4月9日(土)に第17回プロゼミコースが開催されました。

第17回プロゼミ研究会では、研究会員より、いわゆる「自販機スキーム」と類似のスキームを利用して消費税の還付を受けた法人と、その経営者及びスキームを助言した者がそれぞれ消費税不正受還付罪に問われた刑事事件である、東京地裁平成27年3月16日判決及び東京高裁平成28年1月29日判決について研究発表がなされました。

刑事訴追の事件という普段とは一味違う事例を用いることで、改めて「事実認定の仕方」や、「偽りその他不正の行為」とは何か等の討論が行われました。

そもそも何故、自販機スキームというものが可能であったのかという根本的な問題からはじまり、消費税法における「事業」概念にまで討論が及びました。

第16回プロゼミ研究会

先日1月23日(土)に行われた 第16回 プロゼミの模様です。

この回では、重加算税と偽りその他不正の行為の該当性が問題となった事例(東京地裁平成27年2月24日裁決)が取り上げられ、吉野善吉研究員から発表がありました。報告者と参加者との間でディスカッションを行い、酒井代表より、詳細な
解説が加えられました。

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