ファルクラムは平成22年5月15日から多くの研究会を開催しております。
最新の活動報告は以下よりご覧くださいませ。
平成27年度以前の活動一覧は「こちらからダウンロード」いただけます。
活動報告
最新の活動報告
第20回プロゼミ研究会
平成28年9月17日(土)に第20回プロゼミ研究会が開催されました。
今回は、転売目的で購入したマンションを賃貸していた場合、課税売上対応仕入れではなく、共通対応仕入れに該当するとされた事例として、さいたま地裁平成25年6月26日判決(税資263号順号12241)について研究員から発表がなされ、その後プロゼミ全員で検討がなされました。
本件は、B株式会社を吸収合併した原告Xが、Y税務署長が平成21年12月22日付けでXに対してした、Bに係る平成20年7月1日から平成21年5月30日までの課税期間の消費税等の更正及び過少申告加算税の賦課決定について、消費税法30条《仕入れに係る消費税額の控除》2項1号により控除されるべき課税仕入れ税額が控除されていないとして、その一部取消しを求めた事案です。
単純な仕入税額控除の問題にとどまらず、信託受益権の譲渡や信託に関する問題にまで踏み込み、そもそもの消費税の根本的な仕組みまで様々な意見が交わされました。プロゼミならではの深い議論だったのではないでしょうか。
第51回租税法研究会
平成28年9月17日(土)に第51回租税法研究会が開催されました。
今回は、質問検査の際に適時提示が可能なように態勢を整えて帳簿書類を保存していなかった場合には、青色申告承認取消事由に該当するとされた事例(最高裁平成17年3月10日第一小法廷判決・民集59巻2号379頁)について、研究員から発表がなされました。
本件は、法人税の青色申告の承認を受けていた株式会社X(原告)が、税務調査において帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず、調査理由の不開示等を理由に帳簿書類の提示を拒み続けたことから、税務署長Y(被告)が、法人税法126条《青色申告法人の帳簿書類》1項に違反し、同法127条《青色申告の承認の取消し》1項1号に該当するとして、法人税に係る青色申告の承認取消処分を行ったこと、また、上記の帳簿等の不提示を理由に、消費税法30条《仕入れに係る消費税額の控除》7項に規定する「帳簿等を保存しない場合」に該当するとして、同条1項を適用せず、消費税の各課税期間の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行ったことに対して、Xがその取消しを求めた事案です。
例えば、後者、消費税法30条7項は、同条第1項の仕入税額控除の規定において「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等…を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。」としており、帳簿の保存を仕入税額控除の要件としています。ここで問題となるのは、たしかに「保存」はしているが、税務調査の際にそれを一切提示しなかった場合に、同条7項のいう「保存しない場合」に該当し、仕入税額控除の適用が否定されるか否かです。
この点、同条項が帳簿保存義務を求めた趣旨に鑑みれば、税務調査の際に職員がその保存された帳簿等を適宜検査することを通じ、申告の正確性を確認し、ひいては適正公平な課税の実現を図るものであると考えることができるでしょう。要するに、たとえ物理的に「保存」がなされていたとしても、法の趣旨からすれば、仕入税額控除は否定されるべきとなりそうです。
他方で、文理解釈によれば、「保存」とは、あくまでも物理的な所持・保管をいうとの反論もあり得ましょう。「保存」という文言を忠実に解釈するとしたとき、その中に「帳簿の適宜掲示義務」まで読み込むことには無理があるとの意見もあるかもしれません。
本件は、消費税法の事例のみならず、上記のとおり法人税法上の青色申告の承認取消についても争われていますが、趣旨に着目した解釈と、忠実な文理解釈の対立が軸となっています。
研究員の発表のあと、ディスカッションが加えられ、酒井教授から適宜解説が加えられました。
なお、第二部では、いわゆるレーシングカー事件最高裁平成9年11月11日第三小法廷判決(集民186号15頁)について、ディスカッショングループごとに討論し、酒井教授からコメントおよび解説がなされました。物品税法の事案ではありますが、租税法において定義規定のない概念をどのように解するべきかという問題を検討するにあたりかかすことのできない事案です。
今回もお試し参加の方にもご参加いただき、大変充実した研究会になりました。
第12回研究ゼミ〔研究報告会〕
租税法研究会50回記念:川田剛教授×酒井代表記念対談
平成28年7月9 日(土)、御茶ノ水のホテル聚楽にて、ファルクラム租税法研究会第50回記念パーティが開催されました。
同研究会50回を記念し、国際課税の第一人者であります元明治大学教授の川田剛先生をお招きし、酒井克彦代表との記念対談が行われました。テーマは「パナマ文書公開がもたらす社会的・政治的意義と影響―国際的租税回避政策の今後―」と題しまして、今日租税専門家のみならず、一般国民の間でも注目を浴びている国際的租税回避の問題や今後予想される動向について対談がなされました。
租税条約や移転価格税制等、国際課税に関する多くの書籍を出版されている川田教授から、今世界で何が起こっているのか、主要国が国際的租税回避についてどのような姿勢をとっているのか、なぜ租税回避地が無くならないのかといった疑問について解説がなされ、酒井代表との対談を通じ今後の国際的租税回避の動向についても検討がなされました。
国際課税が日に日に身近なものとなっている中、租税専門家の会員の皆様におかれまして、とても有意義な対談だったのではないかと思います。
第19回プロゼミ研究会
平成28年7月9日(土)第19回プロゼミ研究会が行われました。
今回は、
短期前払費用の取扱いは、
通達は法律ではなく、あくまでも行政庁内部の上意下達の命令手段にすぎないことを踏まえれば、たとえ納税者に有利な取扱いであったとしても、法的根拠のない通達の定めをもって短期前払費用の計上根拠とすることはできません。
なお、当該通達に係る逐条解説によれば、短期前払費用の取扱いは、「重要性の原則に基づく経理処理」
その後、酒井克彦教授による解説、
短期前払費用の取り扱いについては、
第50回租税法研究会
平成28年7月9日(土)に、第50回租税法研究会が開催されました。
平成22年5月15日から始まりましたファルクラム租税法研究会も、おかげさまで第50回を迎えることができました。これもひとえに、会員の皆様のお力添えのおかげと、深く感謝しております。
記念すべき第50回は、普段のファルクラムとはやや異なり、第1部で酒井代表の記念講演「税務調査の法律問題―無予告調査への対応―」を行い、第2部では重要租税判例の検討及び解説としていわゆるエス・ブイ・シー事件を取り上げました。
第1部では、実務家の皆様にとって非常に関心の深いものと思われます「無予告調査」について法律的な視点から解説がなされました。また第50回の節目として、「無予告調査」ならぬ「無予告テスト」を実施させていただきました。「無予告テスト」を行う旨を発表した際には、出席者の皆様からどよめきが起きましたが、限られた時間にもかかわらずご協力いただきどうもありがとうございました。
模範解答や名解答につきましては、研究会後に行われました、租税法研究会第50回記念パーティにおきまして発表と表彰をさせていただきました。
また、第2部では、法人税法におけるとても重要な裁判例として、脱税協力金の損金算入が否定された事例であるいわゆるエス・ブイ・シー事件を取り上げました。かかる事例は、今までのファルクラムでもポイントごとに触れる機会は多々ありましたが、改めて同事件にスポットをあて、深く考察する契機となったものと思われます。
なお、多くの研究会員の皆様のみならず、今回もお試し参加の方にご参加いただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
第11回研究ゼミ
平成28年7月9日(土)に第11回ファルクラム研究ゼミが行われました。
研究ゼミ会員による共同執筆書籍『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント』の制作に向けて、各グループごとに進捗状況の報告がなされ、疑問点の整理や意見交換等を進めています。
9月17日(土)には、同書籍の刊行に先立ち公開報告会を予定しております。
書籍や報告会の詳細、出席のお申込みはこちらからダウンロードにてご覧いただけます(pdf)。
日 時:9/17(土)10:15~〔神保町〕
参加費:ファルクラム会員無料
皆様のご参加をお待ちしております。